不動産鑑定評価書とは?公示地価との関係や評価書の見方を解説

地価公示価格
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不動産に関する国家資格である不動産鑑定士が行う「鑑定評価」を書面にまとめたものが不動産鑑定書です。

今回は不動産鑑定書についてご紹介します。

不動産鑑定評価書について解説

不動産鑑定評価書とはどういった用途で使われる書類なのでしょうか。また鑑定書にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。

不動産鑑定評価書とは?

不動産鑑定評価書とは、不動産の鑑定評価に関する法律第39条に基づいて、不動産鑑定業者が不動産の鑑定評価の依頼者に一定の事項を記載して交付する書面のことをいいます。

不動産鑑定評価書には不動産鑑定士が客観的に鑑定評価額を算定して記載しているので、不動産取引の場面で基準となる価格の算定にも用いられています。

不動産の取引価格は、売り急ぎや買い進み、特別の利害関係や縁故関係といった当事者の特殊な事情に左右されます。不動産売買では基準となる価格があり、そこにいくつかの要素を加算・減算して売買価格が決まると考えておくといいでしょう。

不動産鑑定評価書にかかる費用は?

不動産鑑定評価書は裁判など公的な資料に用いられます。説得力が高い反面、それなりの費用がかかり、通常評価で15万円、簡易評価でも12万円を超えるものがほとんどです。

不動産を売却したい場合には、不動産鑑定評価書を使うことはまずありません。そのため、無料査定のサービスを利用することになるので、覚えておきましょう。

公示地価と鑑定評価書

不動産の価格を表すものに公示地価というものがあります。

公示地価と不動産鑑定評価書にある鑑定評価額にはどのような関係があるのでしょうか。

公示地価は国土交通省が発表する、毎年1月1日時点における標準地の正常な価格をいいます。そして、この公示地価は不動産鑑定評価や公的土地評価の根幹となる役割を果たしています。

例えば、公示地価は相続税評価や固定資産税評価の基準になり、公共用地の取得価格算定の基準となりします。そして、不動産鑑定士が依頼者から依頼されて鑑定を行う場合、公示地価との均衡に十分留意することが義務付けられており、公示地価は不動産鑑定評価額決定の指標として重要な機能を担っています。

不動産鑑定評価書はどんな書類?見方をご紹介

不動産鑑定評価書の様式と見方を簡単にご紹介します。

不動産鑑定評価書の様式

不動産鑑定評価書は一般的に以下の様式をとっています。

  1. 鑑定評価額
  2. 対象不動産の表示
  3. 鑑定評価の基本的事項等
    1)価格の種類、不動産の類型
    2)鑑定評価の条件
    3)価格時点、鑑定評価を行った年月日
    4)鑑定評価の依頼目的
    5)縁故または特別の利害関係の有無
  4. 鑑定評価決定の理由の要旨
    1)一般的要因の分析
    2)地域要因の分析
    3)近隣地域の状況の分析
    4)個別的要因の分析
    5)鑑定評価方式の適用
    6)計算価格の調整及び鑑定評価額の決定
  5. 付記事項等

なお、上の内容は作成者により順番が異なる場合があります。

不動産鑑定評価書の見方

不動産鑑定評価書には鑑定評価上の専門用語が多数もちいられているため、一般的にはやや難しいと思われるところもあります。

ですが、不動産鑑定評価書には不動産鑑定評価額を鑑定するにあたり、どのようなプロセスを経て価格を決定したかが明記されています。そのため、このプロセスを読んでいただくと対象不動産の内容を的確に把握でき、鑑定評価額に納得できると思います。

不動産鑑定評価書と調査報告書の違いとは?

不動産鑑定評価書の他に、不動産の調査報告書という書類があります。これらにはどういった違いがあるのでしょうか。

不動産調査報告書とは

不動産調査報告書とは不動産鑑定評価書の内容を簡略化し、コンパクトにまとめたものです。簡易鑑定と呼ばれることもあり、不動産鑑定評価書の簡易版といえます。不動産鑑定評価書と同様、不動産鑑定士が実際に現地に赴き、調査をして、適正な価格や対象不動産の情報を教えてくれます。

不動産鑑定評価書の違い

不動産調査報告書は不動産鑑定評価書よりも簡易であるため、安い料金で済みます。しかし、不動産鑑定評価書には必要なあらゆる作業を尽くして決定した鑑定評価額が記載されており、公的な証明能力を有していますが、不動産調査報告書は正規の鑑定評価ではないため、公的証明能力がありません。

したがって、不動産調査報告書は使える場面が制限されるため、使うときは注意が必要です。

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